FX・為替差益の確定申告 Q&A「FX・為替差益の副業 20万円を超えたら?」。細長い帳票を二枚そろえている手元と、折れ線グラフを映したノートパソコン

FX・為替差益の確定申告 Q&A

FX・為替差益の副業 20万円を超えたら?

公開 2026年8月5日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

その年に決済して確定した損益から手数料を引き、残った所得が20万円を超えていれば申告が要ります。税額の計算を他の所得と分けて行う申告分離課税であっても、この20万円の合計には足します。

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解説

くわしい解説

申告分離課税でも、線の内側にある

FXの差金決済による所得は、他の所得と区分して「先物取引に係る雑所得等」として課税されます。税額の計算こそ給与などと分けて行いますが、所得の区分としては雑所得です。

所得税法121条1項1号が合計するのは、利子・配当・不動産・事業・山林・譲渡・一時・雑の八つの所得です。ここに雑所得が入っていますので、FXの利益も20万円の合計に足します。税額の計算が分かれることと、判定の合計に入ることは、別の話です。

合計するのは、その年に決済して確定した損益です。ポジションを持ったまま年を越した分の評価差額は、決済していませんので合計に入りません。

FXの損益が20万円の合計に入ることを示した図。税額の計算は他の所得と分離して行う一方、所得の区分は雑所得であり、判定の合計には含まれることを表す。
20万円の合計に足すもの、足さないもの。給与と退職金は、この合計の外側にあります。

線に当てるのは、手数料を引いた後の所得

20万円と比べるのは、年間の確定損益から必要経費を引いた後の所得です。取引にかかる手数料のほか、取引に使う端末や通信費のうち業務に使っている部分、有料の情報サービスの利用料といった、その取引に直接要した費用が引けます。

複数の業者に口座を持っている方は、業者ごとに20万円を当てるかわりに、すべての口座の損益を合わせた一つの金額で判定します。端末や通信費のように生活と共用しているものは、業務に使っている部分だけが経費になりますので、按分した後の所得を線に当てることになります。

年間取引報告書は、業者のサイトからダウンロードできる期間が決まっています。年内に保存しておくと確実です。

年間の確定損益から手数料などの必要経費を引いて所得を求め、その所得を20万円の線と比べる関係を示した図。
線に当てるのは、入ってきた金額ではなく、必要経費を引いた後の所得です。

損失の年こそ、申告しておく

損失の年は、20万円の合計に足す利益がありません。それでも申告書を出しておく実益があります。

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除は、損失が生じた年分の確定申告書に、申告書付表と計算明細書を添付して提出することが要件です。そのうえで、その後において連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出し、控除を受けようとする年分にも付表と明細書を添付して提出する必要があります。

連続して、という言葉が要です。利益も損失も出なかった年に申告を飛ばすと、そこで繰越がつながらなくなります。翌年に大きな利益が出たときへの備えとして、損失の年から続けて出しておくことになります。

20万円以下でも申告が要る場合と、住民税

121条1項のただし書は、この提出不要の扱いから外れる場合を定めています。所得税法施行令262条の2が挙げるのは、同族会社の役員やその親族が、その会社から給与のほかに貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取る場合です。勤め先や自分の会社に資産を貸している方は、その所得が20万円以下でも申告が要ります。

給与等の収入金額が2,000万円を超える方は年末調整が行われませんので、取引の損益にかかわらず申告が要ります。

住民税には、この20万円の線が引かれていません。地方税法317条の2第1項は、給与だけ、または公的年金等だけを受けていてほかに所得がなかった方を除き、3月15日までにお住まいの市区町村へ申告書を提出することを定めています。所得税の確定申告書を出せば、その提出日に住民税の申告書も提出したものとみなされます(同法317条の3第1項)。所得税で申告しなかった年は、市区町村への申告が別に要ります。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第121条第1項・第3項(確定所得申告を要しない場合)(抜粋)

第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。

 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。

 その年において第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が四百万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第二百三条の七(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が二十万円以下であるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-04 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第121条第1項柱書・第1号および第3項/第1項第2号・第2項は省略

所得税法 第121条第1項第2号(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合)(抜粋)

 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条又は第百九十条の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。

イ 第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)に規定する従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。

ロ イに該当する場合を除き、その年分の給与所得に係る給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、小規模企業共済等掛金控除の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦控除の額、ひとり親控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額、扶養控除の額及び特定親族特別控除の額との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第121条第1項第2号/同項柱書・第1号および第3項は別掲

地方税法 第317条の2第1項(市町村民税の申告等)(抜粋)

第三百十七条の二 第二百九十四条第一項第一号に掲げる者は、三月十五日までに、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を賦課期日現在における住所所在地の市町村長に提出しなければならない。ただし、第三百十七条の六第一項又は第四項の規定により給与支払報告書又は公的年金等支払報告書を提出する義務がある者から一月一日現在において俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この節において「給与」と総称する。)又は所得税法第三十五条第三項に規定する公的年金等(以下この節において「公的年金等」という。)の支払を受けている者で前年中において給与所得以外の所得又は公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかつたもの(中略)並びに所得割の納税義務を負わないと認められる者のうち当該市町村の条例で定めるものについては、この限りでない。

 前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第317条の2第1項/道府県民税につき第45条の2に同旨
第1項ただし書の括弧書き(各種控除の適用を受けようとする者を除く旨の列挙)は長文のため「(中略)」とし、第1項第2号以下および第2項以下は省略しています。

地方税法 第317条の3第1項・第3項(確定申告書の提出による申告書提出の擬制)(抜粋)

第三百十七条の三 第二百九十四条第一項第一号の者が前年分の所得税につき所得税法第二条第一項第三十七号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。

 第一項本文の場合には、確定申告書を提出する者は、当該確定申告書に、総務省令で定めるところにより、市町村民税の賦課徴収につき必要な事項を付記しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第317条の3第1項・第3項/道府県民税につき第45条の3に同旨。第2項は省略

所得税法施行令 第262条の2(給与所得以外の所得が少額であつても確定申告書の提出を要する場合)(抜粋)

第二百六十二条の二 法第百二十一条第一項(確定所得申告を要しない場合)に規定する政令で定める場合は、次に掲げる者がその者に係る第一号に規定する法人から、法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等のほか、当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする。

 法第百五十七条第一項第一号(同族会社の行為又は計算の否認)に規定する同族会社である法人の役員

 前号の役員の親族であり又はあつた者

 第一号の役員とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあり又はあつた者

 第一号の役員から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持している者

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第262条の2

国税庁 タックスアンサー No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係(抜粋)

他の所得と区分し、「先物取引に係る雑所得等」として、所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)の税率で課税されます(申告分離課税)

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1521.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法35、69、措法41の14、41の15、復興財確法13

国税庁 タックスアンサー No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除(抜粋)

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除とは、「先物取引に係る雑所得等」の金額の計算上生じた損失がある場合に、その損失の金額を翌年以後3年間にわたり繰り越し、その繰り越された年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額を限度として、一定の方法により、「先物取引に係る雑所得等」の金額の計算上その損失の金額を差し引くことです。

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を受けるためには、次の手続が必要となります。

(1) 先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につき、当該事項を記載した「令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」および「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付した確定申告書を提出すること。

(2) その後において連続して上記の申告書付表を添付した確定申告書を提出すること。

(3) この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、上記の申告書付表および計算明細書を添付した確定申告書を提出すること。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1523.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:措法41の14、41の15、措令26の23、26の26、措規19の8、19の9

国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(抜粋)

大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。

しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は、確定申告をしなければなりません。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人

3 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人(注)

(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。

4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人

6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人

7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法120、121、所令262の2、所基通121-5、措法3、8の5、37の11の5、41の10、41の12、災免法2、3

国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(所得金額の合計額に含まれない所得)(抜粋)

給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額には、次の所得は含まれません。

1 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの

2 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの

3 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの

4 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等

5 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益

6 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法120、121、所令262の2、所基通121-5、措法3、8の5、37の11の5、41の10、41の12、災免法2、3

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

FX・為替差益の場合

FX・為替差益の場合、ここが分かれ目

申告分離課税という言葉から、給与とは無関係の別枠だと受け取ると、判定を誤ります。税額の計算は分けて行いますが、所得の区分は雑所得です。121条1項1号が合計する八つの所得に雑所得が入っている以上、FXの利益は20万円の合計に足します。

もう一つ、証券口座の株とは扱いが分かれます。源泉徴収ありの特定口座で確定申告をしないことを選んだ株の利益は合計に入りませんが、FXの口座にはその仕組みがありません。そして損失の年は、繰越控除のために申告書を出し、以後も連続して出し続けることが要件になります。「20万円以下だから出さない」と決めた年が、翌年以降の繰越を止めてしまいます。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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